ちょっとしたウニ記

お久しぶりーふ。特に用はないが先日あった体験談を。

ちょっとだけおめでたいことがあり、先日1人でノースベセスダ近辺のお寿司屋さんに行った。アメリカの寿司は、日本よりも高くて、もちろん味も日本よりは劣るとは思うが、それでも、寿司は寿司だ。新鮮な刺身と酢飯を醤油とわさびとともにパクッといただく。これがまずいわけがない。

アメリカに来てずっと、自分はSatsumaの1ドル寿司を気に入って、足繁く通っていたのだが、残念ながら一年ほど前に潰れてしまったのだ。だから週末に頑張ったご褒美にNorth Bethesda近辺にある別の寿司屋に一人で入った。

流石にSatsumaの1ドル寿司のようにはいかず、ちょっと値が張るのだが、一人だし、頑張ったご褒美だ!と思い、特に値段を気にせずに20貫ほど注文した。

さて、この中に美味しそうなウニが2貫あるのが見えるだろう。メニューにはMP (Market Price)、つまり時価と書いていて、値段がわからなかった。最近知ったのだが、時価はお店の人に聞いていいもの、というかむしろ聞いたほうがいいものらしいが、そんなことは知らず、自分は無謀にも値段を聞かずに、このウニを2貫注文したのだ。お祝いだから。

自分はウニが好物で、Satsumaでも必ずといっていいほどウニを注文していたのだが、コロナ以降品揃えが悪くなり、ウニは寿司のネタから真っ先に除外されていた。だから、ウニを食すことができるのは超久しぶりだったわけだ。

そこで、1貫目にその美味しそうなウニを、意気揚々とパクッといただいだ。だが、咀嚼しているうちに異変に気が付く。

「味が変だ」

見た目は写真の通り、綺麗で新鮮で、味も決して腐敗したような味ではなかったのだ。一瞬、「今まで食べたことのない、違う種類のウニなのかな?」と思って、時価だし、頑張って飲み込もうと思ったのだが、無理だった。やめとこうとか、遠慮しとこう、とかじゃなく無理だったのだ。

なんというか、食べ物の味じゃないのだ。すごい人工的で化学的な、ケミカルな風味が口の中に充満されていた。

もう無理だと思い、トイレに駆け込もうと思ったが、テーブルに紙ナプキンがあったので、その中にこっそり全て吐き出した。口の中が化学物質臭くて、きつかったが、ビールと水で洗い流した。

おそらくだけど、ウニを保存するための保存溶液の濃度が間違えられていたか、あるいは取り扱いがわからずに、ウニを直接その溶液に入れてしまったのか、ウニを取り扱ったことがないので実態はわからないのだが、きっとウニが保存溶液でバリバリに浸されてしまっていたのだろう。そんな味だった。

その後、変な風味の残った口で、残りのウニ以外をなんとか完食して、チェックをもらった。ウニはMPで1貫10ドルだった。2貫で20ドル。つらい。20ドル払って、食すことができない、ウニ以外の何かを注文してしまった。

「これもアメリカ勉強代だな。もう2度とこの手の寿司屋でウニを頼むのやめとこう」と思った。

ところが話はこれで終わりでない。店員さんがcheckを回収してくれる際に、自分が残したウニを見て「なんでこれ食べないの?」と聞いてきた。おそらくMPのものをわざわざ頼んで残している自分が不思議だったのだろう。

自分は正直に”its taste was weird, it’s something like chemical”みたいに正直に味が変であったことを伝えた。別に深い意味があったわけでなく、聞かれたから正直に答えただけだ。

すると全く予想外のことに、その店員さんは”Can I take that off?(ウニをcheckから除きましょうか?)”と提言してくれたのだ。自分としては、運命を受け入れる準備(大袈裟)ができていたので、”oh… but it’s OK…”みたいに濁していたのだが、結果的にすぐに新しいcheckを持ってきてくれて、20ドル分を除いてくれた。

なんというか、純粋に、こんな親切なこともあるんだなあ、と思ったのだ。

アメリカはどんぶり勘定で、責任者じゃなくても、こういう値段の裁量ができてしまうことをしばしば見る気がする。

その後も数日間、口の中に不快なケミカルな感じは残ったのだが、なんかこういうことあったという、印象的だった1日をブログとして残しておく。

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