うつ病 in コロナ 禍 in アメリカ

COVID-19 in NIH in U.S.

アメリカにあるNIHという研究機関でポスドクとして働いているが、3月23日から現在まで二ヶ月以上、ずーっと在宅勤務である。NIHに終身雇用されている人たちはタイムカード的なものを毎日提出しなければいけないそうだが、ポスドク(NIHではVisiting Fellowと呼ばれる)は更新有りの短期間雇用なので、そのような義務もない。

研究者という職業は「知」を創造して、それを売り出す仕事である。例えば、アマゾンのジャングルで新種の生物の発見に取り組んでいる研究者は、「アマゾンの地中には、”ほにゃらら”という新種のダンゴムシがいた」みたいな新しい「知識」を生み出すのである。もちろん、その研究者が見つけなくてもアマゾンの地中には元から”ほにゃらら”というダンゴムシはいるわけだが、その「知識」を「論文」という形で、人間社会に対して表現するのが研究者の仕事なのである。その「知」は場合によっては、テクノロジー進化の礎になることもあるし、ただ単純に人間の興味を惹くものになるかもしれないし、あるいは筆者が見つけた「知」のように誰にも興味関心を持たれないかもしれない(泣)。

そんなわけで、研究者というのは、実験なり、探検なりして新しいデータを集めることで仕事をしていくわけだが、残念ながら、コロナ 禍の中で、その「データ収集」というのが数ヶ月間できずにいる。モチベーションの維持が上手な人はこの状況でも、論文を読んで自分の知識を増やしたり、次の実験計画を立てたりしているのかもしれないけど、残念ながら筆者にその力は乏しく、基本的にただひたすらNintendo Switchでダウンロードした「あつまれ動物の森」をやっている。

うつ病治療中の筆者が2ヶ月間コロナ禍で休養してみて感じたこと

一方で筆者は約5年前からうつ病を患っており、「まとまった休みが欲しい」と感じながら、ずーっと誤魔化し誤魔化し仕事をしてきた。うつ病の症状としては、だいぶ回復してきたとは感じているけど、うつ病発症前の自分と比べると、50%ぐらいの体力・気力で全てをやりくりしている感じで、もっと回復したいなとも感じている。

そして、幸か不幸か(おそらく筆者にとっては幸せだったのだろう)、コロナ ウイルスの世界的大流行により、丸二ヶ月以上の在宅勤務、実質的なほぼ休みを得ることができたのだ。日本の研究室で働いていたら、おそらくここまでは休めなかったと思う。何人か日本人研究者とも連絡をとっているが、「普段と労働環境は変わっていない」と言っている者もいた。

そして、実際に丸二ヶ月以上、ゆったりとした生活を送ってみて、どれくらい回復したかというのを、自分のため、そして自分と似た境遇の人のためにここに記録しておきたい。

結論から言うと、うつ病による体調不良に関しては、これ以上休んでももう良くならないかな、と感じ始めている。筆者うつ病を発症してから、生活リズムを自分で整えることが非常に困難になっていて、具体的に言うと、「1.望んでいないけど、夜更かししてしまい、体力の限界までパソコンを見て、体力の限界を迎えると歯磨きも出来ずに、そのまま布団に入る」、「2.明け方に希死念慮を感じるので、起きることが非常につらく、いくらお腹が空いていても、限界まで布団から出られない」、「3.このループから抜け出したいと、3年以上前から感じており、カウンセリング で相談もし続けいているが回復しない」と言うような症状を抱えている。これらに関しては、コロナ 禍で二ヶ月間、休息をとってみても、残念ながらほとんど改善が見られなかった。例えば、一年休めば治ると言う可能性もなくはないと思うが、この二ヶ月間でピクリとも改善が見られなかったので、休む期間を伸ばしても、その回復は微々たるものなのではないかと予想している。

一方で「これ以上休んでもあまり効果がない」と言うこと(ある種の実験結果)は、一度長期間休んでみないと自分では実感できなくて、それが実感できたということの大きさは個人的に測り知れない。その意味で本当に二ヶ月間休めてよかったと思っている。もし休めなかったら、「長期間休むことができたら、うつ病全快するのになあ」と言う間違った希望を抱きながら、ダラダラと生き続けていたかもしれない。

だから「この状態で生きていくんだ!」と言う決意と「うつ病を改善するには行動を変えて、別のアプローチをとるしかない!」と言う思いに至ることができた。

あとはWordPressでブログを始めることができた、というのも自分にとっては大きすぎる財産だ。コロナ禍じゃなくてもコツコツできていたかもしれないけど、この短期間でできたのはラッキーだったと感じている。

まだいつ実験が再開するかは決まっていないけど、それまでの間、もう少し時間を有効活用できればなと思います。

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