いじめっ子が成功するというのは世界共通らしい~Taylor Swiftから学ぶ人生の教訓~

自分をいじめてきた者の成功を見ることほどきついものはない

うつなま

パワハラ、セクハラ、いじめ、そういったコミュニティ内における、悪質な上下関係が原因の虐待の被害者になったことがある人は、この言葉がつらいほどわかるはずだ。そして、勧善懲悪の観点から「私をいじめた悪い奴が幸せになるなんて間違ってる。奴は地獄に落ちるはずだ」と思っていても、実際はそういうそういう奴にも、出世、結婚、出産などの世にいう「幸せ」が訪れ、「悪い奴に幸せが訪れるはずはずはない…ということは自分の振る舞い方が間違っていたのかな…」と被害者にも関わらず、自責の念が訪れる。

過去に敗北を受け入れる勇気シリーズで書いてきたように、自分は学生時代に所属していた研究室で先輩からのいじめにあい、うつ病になり、彼女のいないまま闘病しながら仕事を続けている。一方の先輩は卒業後結婚し、子供も生まれ、プロモーションもして、社会的な成功をおさめている。

うつ病を患ってからTwitter(新X)で自分と似たような境遇を持つ人を探し始めて、そして想像以上に多くの人が、自分と同じように「いじめた人が社会的成功を収め、いじめられて側が惨めな生活を送っている」ということを経験し、それを非常にストレスに感じているようだった。

現実はおとぎ話の世界でないので、残念ながら「逆勧善懲悪」みたいなことは頻繁に起こりえる。

理由の一つには、いじめっ子というのは、自分の感情に素直で、それを実行に移す行動力がある(良し悪しは別にして)。「あの人が嫌い、だから攻撃する」みたいにシンプルな行動原理で動き、「あの人が嫌い、だけどいじめるのは良くないことだし、あの人をいじめたらあの人のことを好きなことは悲しむし、バレたら先生や親に叱られるし…」みたいに善人のように複雑に物事を考えない。

思慮深さは人生に深みを持たせるために、ものすごく大切なことだけど、でも、人生はそもそも「行動しなければ始まらない」という側面もある。いじめっ子があまり行動にストッパーがかかっていないのに対して、思慮深い善人は行動するまでに時間がかかる。

例えば結婚という側面に焦点を当てると、異性を口説かなければ始まらず、そして打率10割だろうが1割だろうが、一人の異性を捕まえることができれば「結婚」することができるので、となると、行動力に優っている人は必然的に成功する確率が上がる。

おそらくビジネスでも同様にそういう側面がある。

ただ、30半ばに到達すると、必ずしもいじめっ子が得をし続けるわけではないという側面も見えてくる。人間というのはAIと違い、恨みの感情を持ち、なおかつ情報好き(噂好き)で、いじめっ子は被害者たちから長期に渡り悪評を流され続け、長い時間をかけて少しずつ評判を落とし、人が寄り付かなくなっていく。アカデミックという研究室単位で動く世界では、よりそれが顕著である。PIの性格が悪い場合、在籍時から、そしてラボを離れた後も「あそこの研究室には行かないほうがいい」という「Bad reputation(悪評)」が流れ、次第に人員不足に陥り、研究ができなくなってしまう、というのをよく見聞きする。逆に性格のいいPIが束ねる研究室というのは「行ってよかった」といい評判が流れ、どんどん人が増えていく。

「性格の良さ、人当たりの良さ」という思慮深い人間の特性は、管理職という立場が上の役所になるほど重要になってくる印象がある。

最近ふとTwitterを見ているとテイラー・スウィフトのスピーチの映像が流れてきた。自分はアメリカの歌手ではAva Max推しなのだが(これについてはいつか書きたい)、テイラー・スウィフトも好きというか、アメリカの頂点に君臨する人物として(アメリカにいると本当にそんな印象を受ける)、多大なリスペクトをはらっている。

[英語モチベーション] 22 NYU卒業演説何かを失う時何かを得る|2022 NYU commencement speech| テイラースウィフト|Taylor Swift|日本語字幕 |英語字幕 |

自分がこのスピーチの中で最も印象に残ったのは、

いじめっ子が親戚の証券会社で昇進した

All enviable promotions your school bully got at the hedge fund his uncle started

という部分だ。「いじめっ子の成功」という自分やTwitterのいじめ被害者たちが悩み苦しんできたことは、何も日本に特有の現象ではなく、世界共通の現象だったのだと、大変衝撃を受けた。

それと同時に少し、気も楽になった。自分たちが経験してきたことは何も特別なことではなく、世界共通の現象で、世界には多くの仲間がいる。

それはつまり、場合によっては、同じことを今後も経験しうるということであり、一人一人のいじめっ子の近況を気にしている余裕はないということだ。そんなことをしていると、時間がいくらあっても足りない。自分たちがそれを気にしたところで、奴らの幸せを奪うことはできないし、仮に奴らから幸せを奪っても、それは自分の幸せにはならない。

自分の幸せは、自分なりの幸せでよく、それは自分で見つけるしかない。

きっとテイラーの元には世界中のファンからそういう悩みの声が届くのだろう。そして彼女は限られた時間の中で、ファンの悩みに自分なりに誠実に向き合っている。そりゃファンも多いわけだ。

そういうネガティブな面を自分の中に取り込むと、人生が非常に重くなる。だからキャッチアンドリリースが大切だと彼女はいう。

そして、大切なものは大抵軽いと。だからそういうものはたくさん持ち運べると。こんなんなんぼあってもいいですからね(テイラー・スウィフト)。

Oftentimes the good things in your life are lighter anyway. So there’s more room for them.

自分もたくさんのいい友人にアメリカで出会い、そして良質な関係というのは、あまりプレッシャーを感じず気楽で自然体で相手に向き合うことができて、そういう関係は特に頑張らなくても、長く、気楽に継続できる。そういう関係は増えても困らない。

こんなんなんぼあってもいいですからね(テイラー・スウィフト)。

なんぼあってもいいような関係、経験、趣味、喜び、そういうものを増やしていくことに力を注げば自分の人生はきっと良くなっていく。

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