わたしは「肝心な部分だけ聞き取れない病」

先週で仕事が一段落して、今年も終わった感じだ。色々と大変だったけど、今年は頑張れた気がする。とは言え、まだ3週間ほどあり、できる実験もあるので、もうひと踏ん張り頑張ろうと思う。今週はご褒美週間でもあるので、楽しみだ。

今年の抱負として「No.7. 女性の友達を増やす(願わくば彼女を作る)」というのがあった。一時期連絡を取り合っていた女性もいたが、結局連絡が取れなくなってしまい、今年も結局彼女はできなかったし、セックスもできなかった。ただ、ラボの同僚に対して、ちょっとした失恋をした。自分の気持ちを伝えたわけでもないし、表面上は何も起こらなかったのだが、自分の中で色々気持ちの動きがあり、それが結構おもしろいものだったので、是非とも近々ブログにまとめてみようと思う。

今回はその前座として、自分が20代の頃から抱えている「肝心な部分だけ聞き取れない病」について書いてみようと思う。今回の話はその失恋の記事で引用するためのものだ。

この症状に気づいたのは20代中頃だったと思う。自分にあまりに彼女ができず、そのことについて異様に神経質になり始めた頃から、自分は人が「恋愛または仕事(研究)に関連する重要なこと」を言うタイミングで、なぜかそのことだけがうまく聞き取れない、ということを頻繁に経験するようになった。多分、神経質になっていたのは恋愛だけでなく、研究のことに関してもなので、あくまで「自分が重要だと認識している事柄」だけに対してだけだと思うが(もしかすると気づいていなかっただけで、幼少期からそうだったかもしれない気もする)。

うつ病寛解に取り組む前まで、そもそも自分は禁忌があまりに強すぎて、人のヴァルネラビリティーに関する部分に自分から触れることができなかった。多分、今でも自分は人に「恋人いるの?」とカジュアルに聞いたことがない。「恋人、年齢、仕事、婚姻歴」この辺りのことは、初対面ではそうそうしゃべらないが、交友関係が続くと、どこかの段階でオープンにならないと、関係が深まりにくい。そういう「聞きづらいこと」は、いつも自分以外の誰かがその人に聞いていた。

カウンセリングに行き始めてからは、意図的にそう言うことを意識して聞くようになり、だいぶ慣れてきて、今年はついに、数年来の男性の友人に年齢を尋ねた(我ながら臆病すぎるよ)。自分より年上であることは知っていたが、聞きづらいし、彼も話さないから、結果として4年以上、相手の年齢を知らないまま交友を続けていた。結果として、彼は自分の九つ年上だった。

それはさておき、カウンセリングに通い始める以前の自分は「恋愛および研究」に関してあまりに神経質すぎて、自分からそれらの話題に触れないようにしていた。それでも話の流れで、そういう話になることもあるのだが、相手がそれらに関連する「キーワード」を言う時に限ってうまく聞き取れず、聞き返したり、あるいは聞き流して、わからずじまいにしてしまうことが多かった。

恋人がいるいない、週末女性とデートする、論文をどこのジャーナルに投稿する、そういう自分にとってナーバスな話題になると、決まって頭にモヤがかかるのか、うまくキーワードが聞き取れない。結果として、その人に恋人がいるのかいないのか、週末何するのか、論文をどこに投稿したのか、わからないままやり過ごしてしまうことが多かった。

他にもこれに類似した症状を持った人がいたらぜひコメントで教えてほしい。ネットで「肝心な部分だけ聞き取れない」と調べても難聴に関するものしか出てこない。自分は聴力そのものに問題があるわけではない。

なんとなくだが、「好きな人の顔を思い出せない」という現象に似ている気がする。自分もこの症状も持っていて、夢の中に出てくる好きだった人の顔が全然違う人物だったりする

この「肝心な部分だけが聞き取れない」をどこまで一般化できるかわからないけど、この他にも最近は特に「人間の脳って不思議だな」と思うことが多い。なんとなく、会話の空気感から、敏感に肝心なことを言うオーラを感じ取って、そして、多くの場合それを聞いてしまうと自分は傷つくから、咄嗟に自衛本能が働いて、その音を遮断しているのだろう。そんな念能力みたいなことはハンターハンターの世界だけにしてほしい…

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