変な夢をみた(昔好きだった人の実家に忍び込む)

最近は家族の夢をよく見る。以前に30歳を超えてようやく母親離れができてきたことを書いたが、それと比例して家族の夢を見ることも増えた。大体、1ヶ月以上、実家と全く連絡を取らないと頻繁に家族の夢を見るようになる。体は正直である。

それに引き換えて、好きな人の夢というのは昔からあまりみない。どの恋愛も成就せずに、悶絶するぐらい苦しい失恋で終わるのだが、毎度の恋愛でそんなに熱い思いを抱いているにも関わらず、なぜか夢にはほとんど出てこないのだ。

先日、大学1年生の頃に初めて好きになった女性が夢に出てきた。一方的な片思いで付き合ってすらいなかったのだが、自分は今でもその人のことをよく考えて、そして夢の中で自分はなぜかその人の実家に忍び込もうとしていた。

大学生の頃はお互い、一人暮らしだったのでもちろん彼女の実家なんて知らない。でも夢の中では正常な判断ができないもので、いくらおかしい夢を見ていてもそれが夢とは気付かない。確か、睡眠中は脳の中で理性や論理を司る部分の機能が活発でなく、それが原因で夢を夢と判断できなかったのだと、確かこの本に書いてあった。

「脳力」をのばす!快適睡眠術 吉田 たかよし

夢の中で、なぜか自分は目の前にある大きな一軒家が彼女の家だとわかっていた。そしてなぜか二重の回転ドアになっている裏口から、こっそり彼女の家に忍び込んだのである。

家の中では、誰かが集まっていたらしく、「誰だ!」と自分は叫ばれ、慌てて家の外に逃げた。内心やばいなと思いながら、「でもしょうがない」と諦めていた。

家の外で待っていると、彼女の母親が出てきた。もちろん、現実世界では片思いしていただけの女性なので、彼女の母親の顔なんて知らない。でも、自分はその母親に「ずっと、彼女のことが忘れられなくて、つい会いに来てしまいました」ということを正直に伝えた。すると、彼女の母親は「今あの子は家を外しているけど、もう直ぐ帰って来ると思うから、中で待っていたら?」と家に招いてくれた。流石夢だ。

家の中で、彼女のお兄さんにも会った。彼女にお兄さんがいるのは事実だ。

しばらくすると、彼女が帰ってきた。夢の中の彼女は現実の彼女とは少し顔が違ったが、それでも自分は嬉しかった。どんな話をしたか忘れてしまったけど、彼女は現在フィリピンの会社で働いているとのことだった。夢の中ではまだ結婚していないようだった(現実ではしていると思うが)。夢の中なので、10年以上も会っていないし、付き合ってすらなかったのに、急に実家を訪ねたことを怖がりもせずに、楽しく談笑してくれた。

そこらへんで目が覚めた。

彼女は自分が大学生の頃に初めて好きになった女性で、初めてが故に全てが新鮮で楽しく、初めてが故にもどかしくつらかった。初デートでいきなり告白して、そして「保留にしますね」という言葉が帰ってきた。その間に自分は気持ちがおかしくなり、いろいろ変なアプローチを彼女にしてしまった。誕生日プレゼントとして、イオンでトースターを買って彼女の下宿に送りつけてしまったこともある。

結局、彼女はその「保留中」に恋人を作っており、自分はそのことを知らぬまま、一年近く細々と自分なりのアプローチを続けていた。「連絡が多すぎると嫌われるかな?」と思い、大体二週間に一度くらいのペースで連絡していた、が実際は毎日彼女のことが頭から離れずに苦しかった。最後は自分の気持ちが爆発しそうになり、13枚ぐらいにわたる長いラブレターを書いて送り、その返事として彼女に恋人がいることを伝えられ、それでようやく終わった。

信じられないぐらいつらかったが、それでも自分はすぐ前をむいて新たな恋愛に挑戦した。それから今現在に至るまでの10年間で自分は4人の女性を自分から好きになり、3人の女性から食事に誘われたりもし、そしてその全てがうまく行かずに現在に至っているのだが、不思議なことに思い出すのは、その一番最初に無残なふられ方をした彼女のことだけなのだ。まだ恋愛免疫のない脳の奥底に、それだけ深い印象が刻みついたということだろう。

別の学部ではあったが同じ大学に通い、同じ地域に住み続けていて、彼女と偶然出会す可能性も会ったのだが、フラれてから自分は徹底的に彼女を避けて、本当にそこから4年間、彼女に会う事はなかった。ストーカー紛いなアプローチをしてしまったという申し訳なさもあったし、彼女も怖がるんじゃないかという思いもあったが、それ以上にそこには自分の変な強いこだわりというものがあった。

うつ病発症前の自分には、そういう「強い拘り」が多く存在し、そしてその拘りを厳守し続けるだけの脳力もあった。うつ病を発症してからはそういう「強い拘り」や「強い脳のパワー」というのがなくなってしまった、がそっちの方がいいのだと思っている。そういう拘りがなくなったからこそ、大学生の頃はあんだけ会わないように徹底していたのに、30歳を超えた現在、夢の中で彼女の実家にまで訪れてしまったのだろう。

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