平均初婚年齢を超えてみて

ネットで軽く調べる限り、最近の平均初婚年齢は男性で31.1歳であるらしい。とっくに超えていた。

自分には幼なじみの男性の友人が2人いて、地元に帰った時は必ず遊んでいる。もっとわかりやすく言えば我々はトリオであり、アメリカにも遊びに来てくれた。その2人がここ1、2年で立て続けに結婚して、ついに自分だけが独身の身となった。それも、ろくに恋愛経験もないまま、結婚の予定も今後10年くらいはないんじゃないかという感じで、パートナーを形成するという意味においては、全く先の見通しが立たない。

その友人らとは、二十歳を超えたあたりから、「この中で誰が一番早く結婚するんやろうな?」というようなことをよく話していた。自分以外の2人は、明るく社交的で中学、高校時代から彼女がいた。自分はというと、両親が厳しく、家でバラエティ番組も見れない、携帯も持てない、といった感じで同年代の会話から置いてけぼりになっていて、それが原因かはわからないけれど、思春期以降は内気になっていた。

大学生になってから一人暮らしを始めて、親の監視がなくなり、遂にみんなについていけるようになった。地元を離れていたので、「陰キャ時代」の自分は隠すことができた。

地元に帰ると、その友人らから「意外とお前が一番早く結婚するんかもな」みたいなことをよく言われていた。その度に「まあまあ」みたいに満更でもない雰囲気を出していたが、蓋を開けてみれば、なんてことはない、彼らが先に結婚して、自分は圧倒的に遅れをとっている。

大学生以降、恋愛には挑戦していたのだが、尽く失敗して現在に至っている。見かけ上はみんなについていっているような雰囲気を出していたのだが、中高と全く恋愛をしてこなかった人間が、全く人から教わらずにいきなり恋愛を始めても、うなくいかないのは明らかだ、ということを30歳を超えてようやく気づいた。

人間というのは、想像以上に「教わったこと、経験したことがあること」以外はできない。恋愛においても、小中高で好きな子を言い合ったり、告白したり、ふられたりしたことがある人が、大学生以降すんなり大人の恋愛に踏み込むことができるのだ。小中高時代の恋愛というのは、いわば「ごっこ」であり、子猫が狩の真似を始めるようなもので、そういう期間を経ないと本番というのがうまくいかないのだ。大学生になった自分は、それ以前に陰キャラだったことが周囲の友人にバレるのが恥ずかしく、依然として仲間内で恋愛の話をすることが一切なかった。嘘をつくこともできなくて、恋愛話をするような仲間には加わらないようにしていた。

見た目偏差値は低いくせに、美人好きのむっつりすけべで、可愛い人ばかりを好きになり、自分なりに告白しては、ふられてばかりいた。「男は中身」みたいな言説をなぜか信じていたが、「男も見た目」ということに気づき出すのはつい最近になってからだ(中身にも問題があるのでは?という指摘はスルーさせていただく)。かわいい女性というのは、ブサイクな男をいとも簡単にたぶらかすことができる。恋人の存在を隠されたまま、無意味に一年ぐらいアプローチして、手も繋がずにふられるということもあった。

最近気付いたのだが、自分が好きになってアプローチした女性たちは、揃いも揃って全員結婚していた。平均初婚年齢を超えたばかりで、世の半数近くの女性はまだ結婚していないはずなのだが、自分がいかにわかりやすく、みんなから好かれる女性ばかりを好きになっていたかということを、ありありと実感している。

逆に、そういう恋愛強者たちが全員恋愛戦線から退いてしまい、少し楽になった部分もあるなと感じている。フラれては、誰か別の男性に女性を取られ、彼らは毎日好きなだけエッチをして、そんな状況に猛烈な嫉妬と屈辱を感じながらも、自分は1人で自慰行為をするしかない、というような状況もあまり体験しなくなってきた。彼らは結婚し、子供を作り、別の人生を歩み始めている。若い時はイケイケだった彼らも等しく年をとり、それなりに悲しみも感じているのかもしれない。

結婚した彼らが、もう一度自分たちの足元に降りてくることは基本的にない。多くの恋愛強者が戦いから勝ち上がり、あとは残り者同士で楽しくやろう、といった感じである。

徒競走で周回遅れしているような人というのは、意外と冷静で、周りで一生懸命走っている奴らを観察している。彼らは無我夢中で意外と面白いことを見落としているのかもしれない。平均初婚年齢を超えてみても、20代の頃のような悔しさはあまり感じず、冷静さが増して、気持ちの面で楽になった部分もあると思う。

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