先日書いた、アメリカプチ失恋記のスピンオフ的なものである。当時の日記に少し手を加えて書いている。
シェルビーとマックスが付き合いだし、ラボメンバーみんなで学会に行った年明け、自分は一週間の正月休みをもらった。時はコロナ禍。例年なら家族と年越しを過ごすところを、数年間、一人で寂しい年越しを過ごしていた。
1週間の間に、色々できていないことをしようと思った。部屋をかなりきれいにしたり、車のワイパーを交換したり、排気ガスのインスペクションに行ったり、買おうと思っていたものをAmazonで購入したり。
でも、最初の二日間はほぼダウンして終わった。うつ病の症状なのか、疲れなのか、ストレスなのか、おそらく全てだと思うが。この当時は特にダウンしてしまうことが多かった気がする。
でも、休めば自然と気力も回復してくる。人間というのは不思議だ。気力というのは、意図して湧いてくるものではないのである。
あまり気乗りしなかったけど、流石に1週間家に留まるのはどうかと思い、旅行を計画した。national parkもいいかなと思ったけど、冬で、やはり緑がなくて(国立公園は葉っぱを見に行くところだと気づいた)、西海岸は高いし遠いいしで、結局予定していたNew Yorkにした。
New Yorkでしてみたかったことは3つあった。Peter Lugerに行くこと、Madison Square Garden (MSG)に行くこと、そしてストリップに行くことだ。
まずMSGに行った。ニックスの試合があってちょうどよかった。MSGはNBA選手からも人気で、ノビツキーやカリーがMSGについて言及していたから、ずっと興味があったのだ。
MSGはアリーナの作りが変わっていて、2階に橋があって、そこの席からも見ることができた。また2階にモニターがあったり、有名人がやたらとピックアップされてモニターに映し出されたり、催し物としてとても面白かった。シェルビーからMSGはビリージョエルが毎月コンサートをしていると教わった。きっとマックスと行ったんだ(泣)。他に誰と行くねん。初日のご飯はアリーナのテンダーチキンとポテトで済ませた。


二日目は朝ダラダラして、開始は昼からだった。午前中、意を決してPeter Lugerに電話すると、何コール目かに繋がり、1人なんだけどと伝えると、just come overと言われた。数年前に友人が日本から来た際にNew Yorkを旅行したのだが、その時は英語力的に電話予約ができなかった。ずいぶん成長したものだ。
Peter Lugerはキャッシュオンリーだった。2人用のdoubleのTボーンステーキを思い切って頼んでみた。いつもステーキ二つくらいなら余裕だから、いけるかなと思ったのだが、一人分の量が半端なかった。が、信じられないことに小食の自分が、全部胃袋に詰めることができたのだ。120ドルを無駄にしたくないという貧乏根性と、New YorkでPeter Luger食べているという感動。その二つで、自分はここ10年以上で最大限に胃袋に食料を詰めることができたのだ。実際に肉もすごくおいしかった。また行きたい。クリミースピナッチもおいしかった。


食べ終わったのが3時頃で、Natural Historyに行った。閉館が5時半だったので、ちょっとしか見れなかったけど、そのおかげかフリーチケットでタダで入れた。もう少しじっくりみたかった。New Yorkにはまた行きたい。
ストリップに行ったという友人の話を聞いてから、自分も行ってみたいなと思っていたけど、機会がなかった。、ただ、なんとなく行ってみたいな、というのはここ数年間ずっとあった。ホテルでも、New Yorkでのストリップクラブ事情について調べていた。
なんとなく、せめてストリップの店の前までは行こうと思っていた。うつ病で、性欲はあるのに、なぜか恋愛はできなくて、でも女性の裸には飢えていて、勇気は出なくて、それで店の前にすら行かないのは、いくら病気でもちょっとくらい頑張れよと思っていた。自分の職種繋がりでは真面目な人たちが多く一緒にストリップに行こうとは誘いづらく、その手のことに誘いやすい唯一の友人も残念ながら捕まらなかった。結局1人で行くしかないのが自分らしかった。
Natural Historyが終わって、もう一つ行きたかったところ、ロックフェラーの展望台に行ってみた。しかし、濃霧で店員さんから「何も見えないからやめとけ」と言われて、断念した。さて時刻はまだ6時ごろ、依然満腹、いよいよストリップに行くことしかすることがなくなった。
とりあえず、マクドナルドに行って、時間潰しをすることにした。というのも行こうと思っていたNYで一番有名なストリップクラブ、Hustler Club NYC、は開店が7時半からだったのだ。まず、トイレに行きがてらマクドナルドで、作戦を立てることにした。
ただ調べてみると、結構お金がかかりそうだということに気づいた。お酒のボトルを開けて500ドルとか、やっぱりちょっと難しいかなと思った。追い討ちをかけるようにアメリカの弁護士が、ストリップでお金を使いすぎて払えなくて逮捕されたという記事も見つけて、恐怖心に拍車をかけた。やっぱり無理かなと思った。
そうするとストリップショーの平均費用が気になり”average strip club”みたいに調べると、”reasonable”という意味で、Rick’s Cabaret New Yorkを見つけたのだ。現在地から徒歩15分くらいで、街中にあって安全そうだった。Hustlerの方はちょっと海辺の方まで行かないとだめで、怖くて面倒くさかったのだ。
ロックフェラーで現金もおろしていて、お金は十分にあった。だから、とりあえずお店の前まで行って見ようと思った。
お店は安全そうな場所にあった。周りも人がたくさんで、路地裏とかではなかった。でも初見で足を踏み入れる勇気はなくて、店の前をウロウロしていると、何人かの男が連れで、あるいは1人で出たり入ったりしていた。「なんだ、みんな行ってるじゃん」とちょっと安心した。
とりあえず、近くのスターバックスに入って、コーヒーを飲んで落ち着こうと思った。近くにあった巨大なスタバでアイスアメリカーノをぐびっと飲み干した。そして、勇気を持って、Rick’s Cabaret New Yorkに足を踏み入れた。
思い出せないが、確か店の外に客引きの男性がいて、その人に案内してもらった。まず受付で、ショー費用として20ドル支払った。受付のお姉さんもブラだけで、初っ端から刺激的だった。非日常的な空間がそこにはあった。
「色々初めてだ」ということを伝えると、客引きの男性が案内してくれた。そして「まずはテーブルに座れ」と言われた。そして「あそこがいいんじゃないか」と指さされた場所が、ステージの真前の席だったのだ!
店内にはダンサーも含めて、トップレスの女性がたくさんいた。興奮と、感動を覚えたが、それよりも、ステージが近すぎることが恥ずかしかった。「一人で女性のおっぱいを見ている自分」を他のお客さんに見られている構図になっているのだ。もちろんお客さんもみんな、自分ではなくおっぱいを見ていただろうが。
店内を見回すと、lap danceと呼ばれるダンスをしている人が、店のはじの方に何人かいた。なんとなく、lap danceの存在は知っていたので、「あれがそうか」と思いながら、何度かチラ見していた。
かわいい女性たちが、一人ずつ、トップレスで(曲が進むとトップレスになる)、股を大きく広げながら、妖艶に踊っていた。確か、2人目か3人目くらいの女性が、パンツの紐に紙幣を挟むように誘ってきて、こういう場面でも断るのが苦手な自分は、言われるがままに何度も20ドル紙幣を女性のパンツの間に挟んだ。多分、60ドルくらい、この女性だけで使ったと思う。
テーブルに座ってダンスをみていると、店員さんが「お酒飲む?」と訪ねてきた。自分は周りの人がコロナビールを飲んでいるのを観察していたので、「流石にこれならそんなに高くないだろう」と思ってコロナを注文した。結果的にその手の店にしてはそんなに高くなく、ビール2杯とFiji(水)で税込38ドルだった(安くはない)。コロナ1本飲み終わった時に、店員さんに「ボトル開けない?」と聞かれて、メニューをみたら一番安いので200ドル近くして流石に断った。断れてよかった。こういう時のために、店内にATMがあるのであろうが、調子に乗ってキャパオーバーしてしまう人の気持ちもわかった。
テーブルに座っていると、ストリッパーの人が「lap danceどう?」と誘ってきてくれた。金髪のめちゃくちゃかわいい人だった。いくらかかるか自信なかったが「確か20ドルだったはず」と思って、yesといい、店の奥の椅子に誘われた。
lap danceは素晴らしかった。おっぱいもろだしの超絶金髪美人が、自分の膝の上で大胆に体を密着させて、そして、膝でイチモツを、皮を捲るように刺激してくる。目と目を合わせ、見つめ合いながら、結構な時間、ダンスしてくれる。
終わったら「これで十分?」と20ドル払ったらOKしてくれた。これで20ドルなら何回だってしてほしい。
また席に戻って、ダンスを見ていると、後ろのおじさんは、普通に女性のおっぱいを触っていた。「え、お触りありなの?なんとなくダメだと思っていたけど」
後日調べてわかったが、ストリップは州ごとにルールが異なり、DCは法律でlap danceが禁止されていて、接触もだめみたいだ。lap danceができるところはある程度のタッチはOKなのだと認識している。
次にlap danceに誘いに来てくれたグラマラスな女性の人にcan I touch to you?と聞いてみると、お尻をぱんぱんと叩き触るように誘ってくれた。大きいお尻だった。
感じたことは、どの女性もそうだが、女性というのは実態があり、重いということだ。それは太ってるとかそういうことでなく、ちゃんとした実態のある存在であるというだ。肌と肌が直接触れ合い、そして膝の上に乗られることで、その実態をまざまざと感じる。
自分は嬉しくて感動していた。後ろのおじさんがしているように、思い切っておっぱいも触らしてもらった。lap danceに誘ってくれた女性のおっぱいは皆柔らかかった。最初の超絶美人の金髪お姉さんのおっぱいも触っておきたかった。
記憶が定かでないのだが、lap danceは3~4人にしてもらった。最後の人は、これまた可愛い黒髪美人で、2回ラップダンスをしてもらって40ドル払った(最初20ドルを出したが、「2回したから40だ」と言われた。足りなかったら、しっかりと主張される)。おっぱいも触らしてくれたけど、ちょっとすると、ダンスがてら、手を別の場所に触れるように誘導された。あまり触られたくなかったのかもしれない。でも柔らかくてありがたかった。
「時間的にもうそろそろ出たほうがいいかな」と思って、二杯目のビールを飲みほして、お会計をしてもらって、そして記念にFijiのペットボトルをコートのポケットに入れて店を出た。数年ぶりに女性の裸を見ても、lap danceしてもらっても、お酒を飲んでいても、どこか冷静な自分がいた。
Fijiのペットボトルは戦利品である。
まだ時間的に余裕があったから、タイムズスクエアに行った。綺麗なネオンと、目標を達成した喜びに、幸せに酔いしれていた。自分はやった。勇気を出せた。おっぱいを揉んだ。

久しぶりに「生きててよかった」と思った。こればかりは理屈では説明できない、善悪の基準からジャッジできない、不思議な感覚である。
以前の研究室のルミネーションもなく、そこから帰るまでしばらくの間、ストリップのことが頭から離れなかった。ありがたかった。幸せだった。ただ、帰ってから、「本当におっぱい触って大丈夫だったのか?家に請求書が届いて、信じられない額請求されないかな?」とか思ったが、後々調べてみると、ラップダンスはある程度お触りOKらしいので、多分大丈夫だと思っている(もちろん大丈夫だった)。
なんとなく、生きるとは、こうやって時にアホな勇気を出すことなのかなと思った。
何かを守るために、安全な行動を取らないといけないんだけど、結局、それだけだと、うまく行かなくなってしまうのだと思う。
理屈の上では、
「コロナに感染すると仕事が止まるから、仕事が一段落するまでは、レストランに行かない」
「ストリップに行ったことがバレたら、ラボで除け者にされるかもしれない」
「ストリップで振る舞いを間違えたら、裏からヤクザが出てきて、脅されて、逮捕されるかもしれない」
これらは全部、一見正しく、反論が難しいように見える。なぜなら、可能性が0ではないからだ。ないことの証明が難しいように、100%起こらないことは保証できない。
でも、多分、正しい答えは、「そうなるかもしれないけど、行け!、やれ!、人生を謳歌したければ!」ということなんだと思う。100%失敗が確定するのなら避けたほうがいいけど、でもそうでないのなら、もうそれは、前に進むしかないのだと思う。
嫌われる勇気を持って。全てを失う勇気を持って。

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