アメリカプチ失恋記-4

アメリカ生活

前回の続き

アメリカプチ失恋記-1

アメリカプチ失恋記-2

アメリカプチ失恋記-3

ある日シェルビーから「Family emergencyがあり、しばらく仕事に行けない」というWhatsappが入った。自分は心配だったが「親戚の誰かが亡くなったのかな」などと思い、「OK、こちらは問題ないよ」と返答し、それ以上深く考えなかった。

2日後、見るからに憔悴したシェルビーがデスクに座っていた。自分は驚き「何か大変なことがあったの?」と尋ねると、シェルビーは「イエス」とだけ答えた。自分はそれ以上追求しなかった。追求できなかった。

(一体、何が起こったのだ…親戚が亡くなって、そこまで憔悴することがあるだろうか?まさか親が亡くなったのか?でもそうだとしたら、シェルビーの両親は離れて住んでいるし、葬儀でこんなに早くは戻ってこれないはずだ。一体何が起こったんだ)

そこからしばらく、シェルビーは憔悴した状態で、ラボに来続けた。でも、実験をできるような心理状態ではなく、デスクで仕事を続けていた。

ある日、シェルビーが「ごめんなさい」と言ってきた。相変わらず元気はなかったが、表情は少し和らいできた気がした。自分は「ラボで起きていることで緊急性を要することなんて何もない。シェルビーは自分の問題を解決することにまず力を注いで」と言った。シェルビーは「ありがとう」と言い「実はマックスが…」と喋り始めた。だが、自分の英語力ではちゃんと全貌を掴むことができず、おそらくマックスに何か精神的な異変が起こって、病院に連れていっている、みたいなことだけが、情報として読み取れた。自分はただうなづいているだけで、それ以上深く聞き返すことはしなかった。

(そうか、マックスのことが原因だったんだ)とその時になって初めてわかった。シェルビーが憔悴してから数週間が経っていたように思う。

そこから2週間程度が経った頃、朝ラボに行くとシェルビーのデスクからマックスの写真が全てはずされていた。かなり驚いた。そしてエンゲージリングも彼女の指からはずされていた。それと同時に、シェルビーは非常にアクティブになり、白衣を着て実験を開始し、他のラボメンバーとも前みたいに喋り出し、ラボ内でちょっとしたイベントごとを企画したりもし、以前のソーシャルなシェルビーへと戻った。

後日、シェルビーが話してくれたのだが、婚約が決まってからマックスが豹変し、彼女の浮気を疑い出し、ヒステリーを起こすようになったそうだ。彼女はI never cheatと言った。確かにシェルビーは気が多く、側から見ても男友達が多いタイプではあったが、契約不履行するタイプではなかった。マックスはシェルビーの携帯やSNSなどありとあらゆるパスワードを勝手に解除してしまい、男友達にメッセージを送っていたようだった。彼女が友人と数年ぶりに電話していた際も、勝手に取り上げ「お前誰だ」と話し始めたそうだ。「友人付き合い」という、おそらく社交的なシェルビーが最も大切にしてきた部分に干渉し、浮気しているなど、あらぬ噂を流される。シェルビーもパニックになり、探偵を雇ったり、父にそばに来てもらったりしていた。すぐに同棲を解消し、ラボのそばに引っ越してきた。「普通の生活がしたい」と彼女は泣いていた。

「あなたはマックスから連絡が来てない?」と自分のことも心配してくれた。幸い、何の異変もなかったので、そう伝えると「あなたに危害がなくて本当によかった」と安堵していた。

美人は幸せが難しい…

時を同じくして、以前ブログにも書いた、高校時代に好きだったSさんも離婚していた。コソコソ見続けていたFacebookのトップページを見ると苗字が旧姓に戻っており、イケメンの旦那とのツーショット写真がはずされていたのだ…

Sさんに恋焦がれ

彼女たちの間に何があったのか詳細はもちろんわからないけど、何でこんな美人で優しい人たちが、すんなりとした幸せを掴めないのだろうと嘆かわしかった。

自分はマックスのことが許せなかった。もちろん、ロックボトム以降、マックスとは会う機会もなかったが。家でスマブラをしていると、マックスというハンドルネームのプレイヤーとマッチアップしたことがあった。何となく負けるわけにはいかないと思い、いつも惰性でぼんやりプレーしていただけだったのだが、その時だけは全集中し、マックスを倒した。

続く

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