いきなりパリに行こうとしない!

以前カウンセリングに行った際、先生から印象的なことを言われた。

それは「いきなりパリに行こうとしない!」ということ。

どういうことかというと「海外旅行に行ったことがないのに、いきなりハードルの高いパリから挑戦しない方がいい」ということだ。日本人なら最初は近場の韓国とか台湾とか、日本人がよく行くハワイとかから始めるのがいいということだ。

自分はこの言葉が非常に印象的だった。というのも自分の半生がまさしく、いきなりパリに挑戦しようとしてきた人生だったからだ。

実際にパリに挑戦したかと言われると、答えは「ノー」である。結局は目標のハードルの高さに圧倒されて「何もしない」という選択になってきた。

自分は大した才能もないのに、プライドだけは一丁前に高い、他人の言葉を借りれば「意識高い系バカ」である。

何の経験もないのに、みんなと同じことや、簡単だと思われるようなことはしたくないし、意味がないと思ってしまう。やるなら、人から驚かれるようなことをしなければ意味がないと。「ハワイなんて、みんな行ってるし、どうせ高が知れる」「韓国なんて近すぎる。あんなの海外旅行なんて言わない」「どうせお金を使うなら、みんなが行かないアフリカとかインドに行ってみたい」。そんなことを思って、生きてきた。それで実際に物珍しい場所に一度でも行ったのならいいのだが、結局、学生時代に海外旅行は一度もしなかった。

「せめて一度くらい海外旅行してから物を言え!」

この傾向は、海外旅行に限った話でなく、全ての物事について言えた。自炊を始めるときも、フライパンでなく、なぜか中華鍋を購入して、揚げ物から挑戦した(ただ、実際この経験は揚げ物に抵抗がないという意味で役に立っているが)。夏休みに自転車で日本一周しようと思って、地図だけ買って、諦めたりとか。普通に電車とか飛行機でどっか行けよって、我ながら思う。

この「いきなりパリに行く系」の思考傾向の問題点は、多くの場合「何もしない」という結果に行き着くということだ。思考と行動が「全か無か」傾向になり、ほとんどの場合「無」が選択されるため、行動範囲も人生経験も不足する。

もしかして、うつ病になりやすい人は、どこかそういう傾向があるのではないかと思う。プライドが高く、なおかつ強迫傾向があるため「低俗、低レベルであると自分がみなしもの(実際はそんなことはないのだが)」を徹底的に避けてしまうため、行動範囲と人生経験が不足して、不測の事態に対応できない、から自分の脳を守ることができない。

行動や経験は人生を生き抜く上で、大きな武器になる。人生を生き抜くために、この武器はどんどん増やしていった方がいい。

コロナが終わったら、海外旅行もいいが、それ以前に「地元旅行」でも始めてみようかと思う。自分にはそれくらいで十分だ。今までゼロで終わっていた経験を、1ずつ増やしていく。

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