大きめの帽子を買う

先日、帽子屋で頭が大きい人用のキャップを買って、外出するときは必ずと言っていいほどかぶっている。その帽子屋には「頭が大きい人用コーナー」というものが存在し、自分のように頭がでかい人に合うサイズの帽子も売っている。

買ったのはサイズで言ったらXLサイズになるのだろうか?帽子の裏には「60~63cm」と書いてある。これくらいのサイズだと、窮屈さを感じずにかぶれて、なおかつサイズ調節もできるので、天変地異が起きて、これ以上頭がデカくなった場合でもOKである。

過去のブログでも書いてきたが、自分には「顔がでかい」というコンプレックスがある。

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中学生の頃に、半分いじめのような形で、継続的に「顔がでかい」といじられ続け、喧嘩も弱く、言い返すのが怖かったので、トラウマになり、コンプレックスとなってしまったのである。そのコンプレックスが解きほぐれ始めたのは30代になってからで、「本当の勇気は「弱さ」を認めること」を読み、自分の「恥の感情」をなるべく言語化しようと試みてからである。

中学生の頃は、みんなでプリクラを撮ることができなかった。本来は自分が大好きで写真に映るのも好きなのだが、顔の大きさを比べられるのが嫌すぎて、「顔がでかい」といじられるのが怖すぎて、友達と出かけた際も、自分だけプリクラに入らなかった。

それに類似し、帽子も苦手であった。帽子なんて、自分の頭部のサイズが如実に数値化される恰好のツールである。中学の時に帽子なんて被った日には「お前、何サイズの帽子かぶってんの?XLサイズ?デカすぎるやろ!」といじられるだけである。そんな機会に遭遇しないために、自分は帽子も徹底的にかぶらなかった。

大学生になってから、地元を離れ、自分の顔のデカさをいじってくる連中から離れることができたが、それでもコンプレックスは強く自分の中に根ざしていた。その思いと反比例し、帽子に対する執着も少しずつ増えていった。

「もしかして自分は本当は顔がデカくないのでは?」という一縷の希望のもと、店においてある帽子をかぶってみようとMサイズとかLサイズの帽子をトライし、「キツイけど、なんとか入るな」とか「全く入らない…」とか一喜一憂し、そんなことを一人で試していた青年期であった。

みんなに遅れを取らないよう、彼女を作ることもトライしていたが、できないまま、過酷な研究生活に揉まれる最中、体調を崩し、複雑性PTSDを発症し、日々の仕事と生活に精一杯で、恋愛を再開できぬまま、アラフォーに突入しようとしている。周りはとっくに結婚し、子供もできているのに、自分はいまだに「クンニってどんな感じなんだろう?」みたいなレベルで止まっている。

このレベルになると、焦りもなくなっていて、低空飛行のまま、かといって人生に絶望するわけでもなく、病気の治療も含めて、自分のペースで頑張っていこうと、そういう心持ちで生きられるようになっている。

先日、父が自分に帽子をプレゼントしてくれた。自分が「多分入らないと思うよ」というと、父は「俺がXLサイズだからXLだといけるんじゃないか?」とXLサイズの帽子を買ってきてくれた。Lサイズだとキツキツだが、XLサイズの帽子は少し余裕を持ってかぶることできた。

XLサイズではあるが、自分の頭もちゃんと「規格内」に収まるものになっていることがわかり、とても嬉しかった。自分は世界に受け入れてもらえる存在だったのだ。「頭の大きさ」という観点からは、今生には自分の居場所はないと思っていた。

この年になるとイジってくる輩もいないので、心配なく帽子をかぶって外出することができる。帽子を被り始めてから、猛暑を軽減するのに帽子がいかに効果抜群であるかということも、30代半ばで初めて気がついた。

「こんなにいいものなら」と思い、自分でも気になっていた「頭のでかい人用コーナーがある帽子屋」に行って、帽子を買ってみた。頭のでかい人用コーナーの前で店員さんに接待されるのが嫌で、店がめっちゃ混んでいる時に、どさくさに紛れて、試着し、いい帽子を見つけて、それを購入した。

病の中でも、自分は少しずつ変わろうとしている。

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